春告鳥 巻の2(滑稽本手控え)

あらすじ

江戸の町を舞台に、男女の恋模様と人情の機微を描く『春告鳥』。巻の二では、薄雲(うすぐも)のもとへ通う鳥雅(ちょうが)が、ある日、お手伝いのお民(たみ)と一夜を共にします。それぞれの思いを抱えながらも、身分や境遇、周囲の思惑に翻弄される男女。そこへ新たな人物や出来事が加わり、これまで見えなかった事情や、登場人物たちの心の迷いが少しずつ浮かび上がってきます。為永春水ならではの細やかな心理描写と、江戸の人々の生き生きとした会話も味わえる、恋と人情の物語です。


# 項目 内容
1 竹屋 鳥雅が川を渡るときに頼む船頭でしょう。
別荘が隅田川の向こう側、つまり向島方面にあり、川を渡って遊郭へ通うという設定になっています。
2 物怪の倖 一般的に「もっけのさいわい」と読み、「思いがけない幸運」や「偶然に得たラッキーな出来事」を意味する日本の慣用句です。
3 春心 あたごころと読む場合は、古風な表現です。
これは、浮気心、移り気な心、誠意のない恋心と、色めき立つ心を表現するためにつかわれたようです。
4 煎花 「煎」は「煎じる」です。「花」は植物の花を意味しますので、文字どおりには「花を煎じたもの」です。
江戸時代には、現在のように茶が常に気軽に飲めるものではなく、薬草や植物などを煎じた飲み物も広く利用されていたようです。
したがって「煎花」は、茶そのものではなく、茶に代わるようなものを指すこともあるようです。
5 火鉢のような小さな器に火を入れ、その上に釜を載せたのではなく、「囲炉裏に近い炉(火床)」のようなものでしょうか。