春告鳥 巻の1(滑稽本手控え)

あらすじ

江戸の町を舞台に、男女の恋や夫婦の情、義理と人情が複雑に絡み合う『春告鳥』。ここの登場する大富豪の跡取り息子である鳥雅(ちょうが)と、花魁の薄雲(うすぐも)。二人には、少なからず縁があったのです。恋しい相手を思いながらも、身分や世間体、家族の事情に縛られ、思うようにならない人々。為永春水ならではの細やかな人情描写と、江戸の男女の粋な会話が魅力です。華やかさの中に切なさを秘めた江戸の恋物語を味わってみてください。


# 項目 内容
1 迎島(むかひじま) 現代の東京都墨田区向島あたりでしょうか。
このあたりは、江戸時代は、隅田川の東側に広がる郊外で、桜や梅などを楽しむ行楽地として発達していたようです。
吉原は、人目の多い歓楽街、向島は、江戸の町から少し離れた自然豊かな郊外という対比をわざとしたのでしょう。
2 うしやの土留木(がんぎ) まず、「がんぎ」は、一般にいう雁木だと思われます。
江戸の隅田川沿岸でいう雁木は、川岸から船に乗り降りするための、階段状になった船着き場ですね。
で、「うしや」ですが、調べてもわかりませんでした。
船着き場に名前が着いていて、それが「うしや」だったんですかね。
3 若竹 清元師匠の家・稽古場の屋号だと思われます。
4 青楼 主に遊女屋や妓楼(遊郭)を指す言葉です。
もとは中国で「青い漆を塗った美しい楼閣」を意味し、転じて貴族の邸宅や美女の住まい、そして日本においては江戸時代の吉原のような官許の遊郭を表すようになりました。
当時、現在の国分寺市周辺にあった「恋ヶ窪」という宿場町の遊郭(大人の遊び場)がモデルになっています。
5 寒葉斎綾継 文亭綾継(ぶんてい・あやつぐ)のことです。
日本橋の薬種・砂糖問屋「大坂屋」の主人で、単なる文人ではなく、商人として生活しながら狂歌・戯作にも関わっていた人物です。
6 田舎源氏 江戸時代に大大大ヒットした、平安時代の『源氏物語』を江戸時代風にアレンジしたエンタメ小説(偐紫田舎源氏)のことです。
現代でいう「流行りのベストセラー小説」が部屋に置いてある描写ですね。
7 尊君(ねし) そんくんは、あなた様というような意味ですが、わざわざ「ねし」というルビを降っているので、漢字で格好よく表記したものでしょう。


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